USBメモリって壊れやすい?壊れにくい?

ここ最近、お客さまから「USBメモリからデータを救出したいんだが、ツールとかあるかい?」的な問い合わせが増えた気がする。
USBメモリを挿してもエラーがでて、どのPCでも中身が見られなくなったんだとか。
一応ありがちな状況を推して「取り出し操作はしましたか?」等と聞いてみるけど、その辺すら曖昧な場合も多い。ちゃんとやってる人も居るし、結構乱暴に扱ってる人も居るし。
とはいえ、ウチには専門的な技術も機械もないので結局「どうしても復旧させたいなら専門の業者に頼むことになります」と言うしかない。軽くググると結構な料金を取られるようなので、復旧委託費用>データ再入力人件費というバランスがひっくり返るような特殊な状況でない限り、皆泣く泣くデータを作り直しているようだ(そういう依頼はFDの時代からあるがw)。
 
 
HDDに比べて歴史が浅いUSBメモリは、正直その「実寿命」というものがまだよく分からない。
HDDなら、だいたい使用開始直後と3〜4年後あたりに問題が起きやすい時期がある。勿論使い方次第(電源ON/OFFが頻繁な環境だと短命とか)ではあるので一概には言えないが、ある程度PC歴の長い人や会社などでシステム・ハード管理してる人なら、それぞれ大体の「HDDの寿命」という感覚は持っていると思う。
一方USBメモリは、普及しだしてまだ間もない。本格的に普及しだしたのはWindowsXPの広がりと同時期とみて良いだろうから(それ以前のOSはUSBのプラグ&プレイに本対応していたとは言えないから)、およそ2001年ごろ。つまり当時の数MBのメモリを未だに使っていたとしても僅か7年ほどしか検証出来ていないことになる。
しかも値段が安くなってきたこともあり気軽に買い換える人もいて、その製品としての実使用における寿命の統計は、ほぼ皆無なのではなかろうか。
当然内部のメモリーチップには「書き換え可能な回数の上限」が存在しそれが製品としての寿命に相当するわけだが、書き込みを分散させるロジックも高度化しているので単純計算出来ないらしい。つまりは、「信頼性が不明なメディア」ってことになるわけだ。
 
 
自分はUSBメモリが不安定だった初期の頃から触れていたので「巨大なFD」程度の認識しかなく、あくまでデータ移動の受け皿にしか使わないのだが、人によってはプライベートな情報や業務で使う大事なデータを(それもバックアップ無しで)USBメモリのみで運用しているのを見かける。見ているこっちが不安になる。
目に余る場合は「せめてバックアップを」という話はするが、大抵の場合は冒頭のようなトラブルに直面しないとデータ保護の意識は芽生えないことが多い。
 
 
というか以前から思っていたのだが、USBメモリのトラブルには、その抜き差しのしやすさにも原因が在るんじゃなかろうか。
FDの頃はアクセスランプが消えていれば抜き差しして大丈夫だった。MOも然り。ZIPも然り。人間が(PC初心者でも)目で見てハッキリと分かるシグナルがあった。キャッシュを積んだ高速なメディアドライブが増えだしてからあやふやになっては来たが、取り出しボタンを押してからメディアが排出されるまでに機械がちゃんとキャッシュをフラッシュしていたので、それほど気にしなくて済んでいたように思う。
しかし、USBメモリは繋がってるのか繋がってないのか分かりにくい。「取り出し」という初心者には分かりにくい操作をOS上でしなければならないのも不親切だし(「取り出し」という操作を実行・完了しても実際に取り出すのは自分でやらなきゃいけないとか、細かな矛盾が多い)、何も考えずに抜き差ししても問題ない場合もあるし(キャッシュ設定次第)。
外部に露出しているコネクタとはいえ割と内部回路に近い繊細な「データバス」を扱っているという意識は、あまり一般的ではないのだろう。
 
なんでUSBメモリかUSBコネクタに「アクセスランプ(よくある読み書き時のランプではなく、内部との論理的な接続を表すランプ)」や「取り外しボタン」を付けないんだろう。USBメモリを挿したらLEDが点灯、プチっと押したらLEDが消えて安全だとすぐ分かる、みたいな。付ければ絶対便利&安心なのに!
 
 
冒頭のUSBメモリのトラブルはおそらく論理的な問題(ファイルシステムが壊れた等)である場合も多いと思われるが、HDDと違って低レベルでのデータアクセスの手段がない(少なくとも私は知らない)から、現時点では手の出しようがない。
この辺はいずれツールが充実してくるのだろうか。メモリの消耗度を計測するツールとか、強制的に(ファイルシステムを経由せずに)データイメージを抜き取るツールといった、HDD用の玄人向けツールみたいな環境が充実してくれば、あるいは個人でUSBメモリからのデータ復旧が可能になるかもしれない。
 
まあ、私は当分USBメモリを信用できないだろうけど。