Winny作者が著作権法違反の幇助

確かに著作権を侵害することは良いことではないのだけどね。
金子氏側の弁護者達の主張を読んでいたら、この判決自体がどうも妙な雰囲気だと思うようになった。
 
壇弁護士の会見の中で出てきた車での例えが大変分かりやすかったですね。
日本国内の公道で合法的に80km/h以上出せる場所はほとんど無いのに、それを大幅に上回る性能の車を販売している(しかもスピードを売り文句にしている車やメーカーもあるでしょう)事はどう説明するのか?(「それはサーキット上で云々」の理屈は、今回の判決での金子氏側の主張が退けられているあたりから考えると妥当な理由とはいえませんしね)
原付も法律上は30km/hなんだから、ちょうど60km/hまで速度を出せるように設計されている上に60km/hまでメーターが刻まれているのは、「速度違反の幇助」って事になるんじゃないの?
 
利用者が著作権法違反が可能な状態を作りその結果違反が多発している事の責任を制作者も負うのであれば、アクセルを踏むだけで公道でも法令速度の2倍以上の速度が出せる車を生産し、年間トンでもない数であろう速度違反者(そしてそれに伴う交通事故死傷者)を生んでいる自動車メーカーがその責任を負わないでよいのはおかしいのではないか?
車の場合は運転者のマナーだとか運転者自身の責任という主張が通るのであれば、ソフトウェアの場合だけその主張が認められないのはどういう事なのか?
Winnyで直接人は死なないが、速度違反の車や改造部品で整備不良状態の車は簡単に人を殺せますよ?
この判決の解釈を当てはめて妄想力を上げていくと、「違法ソフトをダウンロードしているコンピューターの大多数にはWindowsOSが組み込まれていると考えられる」から、このWindowsや制作元のMicrosoft著作権法違反を幇助しているという理論すら成立してしまうのではないか?
さらには、proxy技術、匿名掲示板、出会い系サイト、他にも明らかに違法な利用が認知されている技術やシステムの立場は?
 
つるし上げやすい個人相手だと強気になるような動きもイヤですね。こういう警察の面子や一方向の見方だけに偏った裁判が行われていいんでしょうか。
 
そもそも警察内部でWinny使ってる人間が個人情報を含む捜査情報を漏洩させたりしてなかったでしたっけ?まず自分たちが個人情報保護法って法律を厳守してみせろよ、と言いたいですね。
 
 
まあ、本音と建て前ってのがあるのが世の中なんですけれど、なんか後味が悪い。自分もソフトウェアを作る者なので他人事じゃないし。