iPhoneのモヤモヤ

(事実上の仕事納めで手が空いているため、ちょっと長文)
 
ツイッターBuzztterで見つけた、iPhoneをやめた(解約した)人の意見が興味深い。
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0912/24/news101.html
 
iPhoneの良さを強調される場面が多い中、あえて手放す人の意見って貴重だ。
要点だけコピペで取り出してみると、

  • (普通の)携帯が使えないと致命的なシーンはあったが、iPhoneが使えなくて致命的なシーンはなかった
  • iPhoneでできることは(基本的に)PCでもできる
  • 片手でメールを打てないのはツライ
  • ナビ機能の精度、スピード
  • おサイフケータイ
  • iPhoneSafariは万能ではありません
  • 物理的なキーボードがないデバイスは、触っていて楽しさ半減

 
自分から見て同意できる点もどうでも良い点も含まれているが、それぞれについてちょっと考えてみた。
 
まず、iPhoneが使えなくて致命的なシーンはなかった、という点。
通信(電話・メール)デバイスとして考えたとき、iPhoneでなければダメだ!というシーンがどれほどあるのか。
確かにiPhoneでPCのメールにアクセスできる機能は便利だと思う。他の携帯では難しい事だし。ただ、PC用メールアドレスに届いたメールをPCの無い環境からアクセスしなければ致命的に困るシーンってどのくらいあるのだろう。電話で話せば済む内容かもしれない。メールを受け取れたとしても、結局PCで作業しないと解決しない内容かもしれない。
私は持ち運べるPCとデータ通信手段を既に持っているので、ある程度予想出来る時はそれらを持って行ける。ならばあえてiPhoneに頼る必要性はあるのだろうかと考える。
というか、私の居住地域のようにSoftbankの電波のカバーが甘い地域では、そもそも電波が捕まえられるか否かという根本的な点でDoCoMoのアドバンテージが大き過ぎる。
 
iPhoneにアプリを追加することで、メール以外にftpsshなどの「システム屋的に嬉しい」通信手段を持てるのは魅力である。が、それも「あれば便利」であり「なくて困った」という場面にはなりにくいと思う。そういう状況のシステム屋なら、むしろノートPCを持っているはずだ。iPhoneで出来なくはないだろうが、効率や機能の面から言って頼り切るのは不安だし不経済だ(実用レベルのツールは大抵有料。PCなら無料で整う環境に、数百〜数千円を支払う事になる)。
 
次、iPhoneでできることは(基本的に)PCでもできる、という点。
上でも書いたが、準備さえしていればPCで代用が利く。しかし、携帯と機能的に重複しない点に関しては全面同意しかねる。
それは、iPhoneにはiPhoneでしか実現できないシーンで実用性云々以上の魅力と楽しさを感じられると思うから。手のひらサイズの無線通信デバイスで実現できるという事に意味(魅力)がある。仕事のメインツールとしての話なら別だろうが、プライベートなガジェットとしての魅力を前にしては「PCでもできる」というのは否定の理由にならない。
iPhoneのヘビーユーザーに聞いてみるといい。きっと「PCでも出来る?ハハ、じゃあiPhoneでやればいいじゃん」って事になる。
 
次、片手でメールを打てないのはツライ、という意見。
言われてみると、携帯のメールやiモードの入力・ブラウズは片手で行っている。
歩きながら、片手で何かをしながら、空いた手で方向キーや決定キーを(目を離していても)操作できるというのは、ガラケーの構造的な強みだと思う。iPhone/touchが持つフリック入力やタッチパネルによるUIは確かにスゴイとは思うが、両手操作を前提にしているハードの作りを乗り越える事は難しいだろう。
まあ、メール入力したりツイッターに呟いたりする時は、大抵落ち着いて両手で操作する余裕がある事が多いので、自分にとっては同意はすれど致命的な制限ではないと思われる。
 
次、ナビ機能の精度、スピードの意見。
このコラムの筆者は一世代前のiPhoneであるせいもあるようだが、私がちょっとリサーチした範囲でもやはり似たような意見になった。これから成長・成熟していくのだろうが、少なくとも今使っているiアプリのナビソフトと同等以上のナビをAppStoreで見つけられなかった。
ユーザーが増え、需要が高まり、バージョンが上がれば解決されるのかもしれないが、それは観測であって実状ではない。少なくとも「今」はガラケーのナビのほうが強い。
 
次、おサイフケータイ
都市部ではSuicaなどと共にユーザーが多いようだが、自分の生活エリアではあまりおサイフケータイが活躍するシーンがない。使えたら便利だろうとは思うが、「無くても困らない」レベル。
なので、この点についての長所短所はあまり感じない。
 
次、iPhoneSafariは万能ではありません、という点。
同意。現代のブラウザにおいてFlashが使用できないのは致命的だと思う。ましてやPC向けサイトの閲覧が可能な(というか、それをウリにしている)iPhoneならなおさら。
ウェブブラウズの機能に関しては、むしろガラケーに劣っていると感じるシーンが少なくない。スマートにSafariブラウズを楽しんでいる最中にFlash化されたページに出くわして立ち往生した経験は、iPhone/touchユーザーなら誰しもあるだろうと思う。あのガッカリ感と歯がゆさときたら・・・。
逆に言えば、Flashの実装などの進化があれば、一転してiPhoneの魅力を一気に後押しする要素になるのだろう。
 
次、物理的なキーボードがないデバイスは、触っていて楽しさ半減、という点。
論理的ではないが、感覚的に分からなくもない。
機械式キーの「ぽち」という感覚は、タッチパネルでは為し得ない。これはタッチパネルでなければスライドやピンチ操作が難しいという一面の裏返しでもある。そもそもUIの根本的な思想が違うのだから、これについてどちらが良いとか悪いとかは言いにくい。
ただ、私個人の好みで言えばiPhone(自分はtouchだが)の操作感は好き。一方で手探りでも操作できる機械式キーのメリットも分かる。キーが並んだiPhoneなんて存在意味が無いし、キーが無くてもUIが破綻しないことはiPhoneが証明している。
自分にとって、物理キーが無いことが選択の条件にはならない。「それに慣れてしまえばどちらでも問題ない」レベルの問題。
 
 
 
というわけで、まだiPhoneへの乗り換えを踏み出せずにいる自分には、iPhoneはまだニュートラルな存在のようだ。
成熟したガラケーも可能性に溢れたiPhoneも、異なる文化で進化する魅力的なデバイスなのだからだろう。
一昔前とは違ってイーモバイルWifiルータという新しい選択肢も増え、touchの可能性も無視できない。GPSとカメラが付いたtouchが出たらそれで満足してしまいそうな気もするw
 
自分がiPhoneへルパンダイブする最低条件は、

  • キャリア条件の改善(少なくともSoftbankはちょっと・・・w)
  • ナビソフトの充実(あと一歩の進歩を期待)
  • SafariFlash実装(せめて携帯と同じレベルに!)

といった感じ。
それ以外の点については概ね目を瞑れるかなぁ、と。
 
 
iPhoneマンセーな人には、アンチな意見に辛く当たる人もいる。自分が便利だと感じているから、使い方や感じ方が異なる他人にとってはどうなのか、という点を意図的に無視しようとする意見も見る。なので、冒頭のリンク先のような意見は凄く貴重だと思う次第。
iPhoneを持つ前の「どうしようかと迷っている」時点が、冷静かつ広い視野でiPhoneの存在を考えることが出来る絶好のポジションなのかもしれないな。