はちゅねタコメーター製作(検知回路試行錯誤編その1)

接触型のパルス検知回路を調べていたが、流用できそうな回路図サンプルがなかなか見つけられない。
PICで非接触型のタコメータを作っている記事を見つけたものの、部品点数の多い回路でちょっと面倒そうだったので、あくまで参考にしかならなかった。
おおよその仕組みは理解できるのだが、オペアンプの使い方が今一つ理解できてない。
 
Web上で探すのにも疲れてきたので、いっそメーカー製のタコメーターの仕組みを見てみるのはどうだろう、と発想を転換してみた。
 

メーカー製タコメーターを参考に

使わなくなったキタコのELタコメーターが倉庫に転がっていたので捕獲。
以前apeに付けていたが、ELバックライトが寿命で死んでしまったモノ。バックライトが点かない(というより暗くムラがあって見づらい)以外の動作には問題がないので、このタコメーターを分解して回路を見てみようという魂胆。
このタコメーターはハイテンションコード巻き付け型の非接触型で、価格からしてそれほど高度なロジックは積んでいない(耐震設計&ELバックライトを謳いながら、価格はそれほど高くなかった)と推測。
 
早速分解。
再使用する可能性は20%なので(ゼロではないw)、再構成可能なレベルで切断・分解を進める。ケースから抜いて駆動部を取り外すと、心臓部である円形の基盤1枚が残った。
両面2層基盤なうえ主要部品が表面実装なので、回路が追いかけやすい。電源部は定番構成で5V発生。論理ICとして74HC4538やLM2907が確認できた。
LM2907はfVコンバータ、つまりパルス波の周波数に応じて出力電圧を変えるという、いわばタコメーターの針駆動部っぽい。私のはちゅねメーターとは関係無い部分なので、調査範囲から除外することとし、そのパルス波を整形・発生させている74HC4538周辺を重点的に調査することに。
 
パルスコード周辺から追うと、まずロータリースイッチで4つの抵抗を切り換えるブロックが存在。そこからチップ型の抵抗とコンデンサ(型番不明)がそれぞれGNDに落ち、逆向きダイオードがVCCとGNDを繋ぎ、そのまま4538のAピンに入って行った。
次に、4538の動作定数を決めるパーツ群を追う。チップ抵抗は読めたが、コンデンサは型番記載がなく判別不能。しかし、データシートを見る限り容量が多少前後しても0.7msの動作パラメータ付近で安定するっぽいので、0.1μFあたりだろうと勝手に推測。
 

整理と分析と今後


結果、こういう感じの回路になってる模様(電源回路やLM2907以降は省略)。
なお、ダイオード型番やコンデンサ容量は目視では判別できなかった。
 
単純にエンジンからの信号を減圧・増幅するだけではノイズが多くて安定しないから、4538で波形を安定(一種のローパスフィルタのような構造でノイズを除去)させているのだろう。
12,000rpmまで回るバッテリーレスの原付で動いていたわけだから、参考回路としては申し分無い回路のはず。
 
なお、入力段の4つのスイッチ部分は0〜9の回転型スイッチになっている。組合せは以下の通り。
0:接続無し
1:接続無し
2:240K
3:510K
4:50K
5:50Kと510Kが並列
6:50Kと240Kが並列
7:50Kと240Kと510Kが並列
8:12K
9:12Kと510Kが並列
私がapeで使用していた時(分解開始時)は5になっていた。合成抵抗を計算すると46K付近になるので、4でも良さそうなんだが・・・。説明書がないので詳細は不明。
なおここで選択された抵抗は、直後にある150Kの抵抗と併せて分圧回路になっている模様。46Kと150Kなので、およそ3/4に減圧していることになる。ここで510Kを選ぶと150/660となり、およそ0.22倍まで電圧を下げる格好になるようなので、イグニッションコイル1次側からの直接入力(22V前後まで)にも対応できる設計なのかもしれない。
 
ちなみにコイル1次側の電圧に関して、12Vという記述やら数百Vに達するという記述まで色々な情報があって混乱中。12V前後なら既存のフォトカプラを使った回路で引き込めるが、数百Vとなると別な仕組みが必要になる。色んな車種に柔軟に対応できる設計を目指す以上、特定車種や特定電圧に固執した設計・回路にはしたくない。やはりこの非接触型の完成度を上げるのが無難であろう。
 
近々ブレッドボード上でこの回路を再現して、ハイテンションコードに巻き付けたコードから5Vのパルスを検知・出力できるか実証試験してみる予定。検知用コードには、この分解したキタコのタコメーターにならってGNDシールドされた細い同軸コードを使ってみよう。オーディオ用のケーブルを加工して、ハイテンションコードに巻く先端数?だけシールドを剥いた状態にすれば扱いやすそう(センサコードの取り回しでノイズを出す部品・配線を気にしないで済む)。
 
これが成功すれば、その出力パルスをはちゅねメーターのパルス検知回路に(反転させて)繋いで動作を確認し、本番のパルス受信回路として採用するつもり。